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豊中美術研究所 こども図画工作教室
(児童画教室)

2003年 7月号
アトリエでのこどもたちの様子をご家庭にお知らせするため毎月1回発行している教室通信です。
(Web公開用に記事を再編集してあります)

●水曜クラス ●金曜クラス●土曜クラス(文字色を分けています)
2003年7月

9日(水)
金魚をモチーフに絵画を中心に進めていこうと思ったのですが、工作見本につるしていた「天の川の夏飾り」に興味が集中してそちらがメインになりました。しかしその中で最年少のもとかずくんは家でも金魚を飼っているので金魚に興味を持ち、くれよんでどんどん描いていきました。まずは出目金の赤と黒を一匹ずつ。ピンクの赤ちゃんや水草下に敷いてある小石、水槽、水、泡を表現する時は口でポコポコポコという擬音語までいれて、おしゃべりしながら手が同時に動くという幼い子特有の天才的な描き方で見ているほうも気持ち良いものでした。絵を仕上げると「ばったを作りたい」と言い、資材置き場から気に入った箱や芯、テープ、竹ひご等取ってきてどんどんと作り上げていきました。最後に見るとたくさん作っていたばったたちがいないので「どこにいったの」と聞くと「おうちの中にはいちゃった」というので窓しかなかったおうちに入り口を開けました。私が手伝ったのは窓を開けるときとこの入り口を開けるときだけでした。虫の足に使用した竹ひごは結構硬いのですがはさみで好きな長さに切って使っていました。力もあるもとかずくんです。振り替え出席のあつしくんはいつにもましてパワフルで、「こんなの簡単だい。でもこの紙はいや。折り紙出してよ。」と言ってまたたく間に3つ天の川を作りました。手先はとても器用です。それから1時間くらい私や柱に飛びついたりよじのぼったりと動きまわっていました。ななみちゃんのおかあさんともゼスチャーゲームのような遊びもして楽しそうでした。後半やっと落ち着いて「絵を描こうっと」と自分からくれよんで絵を描き絵の具で前面を塗っていました。抽象画ですが独自の色と形を作ることができ面白い絵だと思います。さて他の子は天の川作りにじっくりと取り組みました。半紙を半分に切り、折って切り込みを入れていきます。あらかじめ用意していた青と水色で紙を染めていきます。ドライヤーで乾かし広げていき、金魚や好きなモチーフを描いた物を貼って、紐を通せば出来上がりです。今日から入会のななみちゃんは最初は人見知りをしているような感じでしたがだんだん打ち解けてきた印象でした。天の川が途中で切れてしまい少し短くなりましたがなんとかできました。金魚をを描くときに「失敗したらはずかしい」と言っていましたが、幼い頃は自由に描けていたのが小学生になるととたんに描けなくなってしまうのに、この理由が一番多くあると思います。目が肥えてきて頭の中で描いている絵がその通り表現できないためです。絵が描けないというほとんどの人が頭で犬や猫を知っていても描いてみると犬とも猫ともわからないような絵になってしまうということと同じです。観察して描くということを繰り返しすれば誰でも描けるようになりますし、それよりもまず自信を持って楽しんで描いてほしいと思っています。うまい、へたよりも絵を描くというのはどういう線を引きどういう色を塗るか一つ一つの作業を決定するのは自分だということを無意識のうちに認識して自信に満ちた線、色が出せるようにもっていきたいと考えています。金魚を繰り返し見ながら描いて、納得のいくものが描けたようで切り抜いてボンドで貼って仕上げました。ひかるちゃんは天の川作りに大変苦労しました。何度も失敗して、でもあきらめずにやり直しました。均等に、交互にはさみをいれると言うのが難しいようだったのではさみを入れるところに線を引いてあげました。最後のは上手に切ることができました。金魚も「じょうずにかけない」というので、全体の大まかな形を捉えてそれから細かいひれやしっぽを描き足していくようにお話しました。ゆうりちゃんはとても細かくはさみをいれたので天の川を広げるのが大変そうでした。天の川に乗せるモチーフは金魚でなく織姫と彦星にすると言って絵と折り紙を組み合わせて作っていましたが時間切れとなりしあげは家に持ち帰ってすることになりました。まいちゃんは一つ一つの作業が丁寧です。天の川はゆっくりとでしたがきれいに仕上がりました。金魚はマーカーで描きました。たくさんの金魚を描いたので時間切れとなりました。後は切り抜いて貼るだけなので持ち帰ってすることにしました。

12日(土)
工作の大好きなりゅういちくんとこうきくんは、金魚を見てもあまり興味はわかなかったようです。ふたりが興味を示したのはデッサンのモチーフに置いてあった大きなサイコロです。見つけるなり「これ作る!」と意欲満々でした。ノラちゃん、だいきくんもサイコロを作りたいと言います。低年齢ということもあり、展開図を書いて作るのはちょっと無理かなと判断して正方形が6枚集まって立方体ができることを体感してもらえれば良いと考えました。まず「正方形ってわかるかな」と質問するとみんな「わからなーい」との答えなので定規と鉛筆を渡して20センチの正方形を書くことから始めました。ひとつ出来上がるとそれを型紙として6枚同じものを作ることにしました。のりしろをつけるかどうか迷いましたが、すっきり正方形を作るほうが6面が同じ形の四角だと認識しやすいので接合部分は後で作ることにしました。りゅういちくんは少しずれましたが何とか立方体になりました。面には文字も書き入れて遊び方も考えているようでした。こうきくんは時間がかかりましたがとても几帳面で、かなり正確な立方体に仕上げました。ノラちゃんも丁寧な作業で、面のデザインもカラフルに凝ったので時間がかかりましたが上手にできました。だいきくんには難しいかなと思っていたのですが、思ったより上手に線を引いたり切ったりしていました。面の丸のデザインも「せんせいみて、1、2、3、4、5、9!」と6のところを9個の丸を書いたりしてお茶目なサイコロを作っていました。かなり根気の要る作業でしたがどの子も皆、最後まで集中して作っていました。金魚を描くことにしたのは、りょうちゃん、ひろゆきくん、振り替え出席のひかるちゃん、今日から入会のりょうたろうくんです。りょうちゃんは微妙に色味の違う赤い金魚をたくさん描きました。最後にえらのところを観察して描きいれました。ひろゆきくんは金魚をよく見て描いていました。小石の質感を出すためにスポンジ筆を使いました。ひかるちゃんは絵を描こうか、工作しようか迷っていたようでしたが、絵を描くことに決まると結構早く赤い金魚を画面いっぱいに描いていました。ひかるちゃんにも最後に金魚がえらで呼吸していることをお話してよく観察してもらいました。りょうたろうくんは、初めて絵の具を使ったのが嬉しくて次々と「この色出していい」と聞いてきます。最初は金魚を意識していましたがそのうち色を塗ることに興味が移り絵の具ととても仲良しになりました。画面いっぱいびっしりと塗って満足するときれいにパレットと筆を洗いにいきました。洗い方は丁寧で上手でした。きれいに道具を片付けてから、くれよんで金魚を描いて切り抜いたものを先ほどの絵に貼りました。素材に親しむ過程では大人からみると「なんてもったいない、すぐに絵の具がなくなる」と思いがちですが、こんなふうに楽しめるのは、ほんの一瞬の子供時代のことだけですので存分に楽しませてあげたいと思います。繰り返すうち、絵の具は混ぜすぎると全部同じ濁った色になるということに気づきます。何色と何色を混ぜればどういう色になるかも体で覚えていくようになります。同じ混色でも配合比率によって色味が変わる事にも気づくでしょう。色の加減の良さというのは感覚で覚えていくより他はありません。りょうちゃん、ひろゆきくん、ひかるちゃんはサイコロも作りたくなって絵を描いた後、時間があまりなかったのですが、1辺が10センチの正方形を書いてサイコロを作りました。はるきくんに金魚をモチーフにすることを誘うと「えっ、でも動くから難しそう」と言います。でもがんばって描くことにしました。鉛筆で形を取り細部もよく見て描きました。「色をつけてみようか」と誘うとまた「えっ、でも色をつけるのは難しそう」と言います。「大丈夫、もっと金魚らしくなるよ」と誘い色をつけていきました。白い部分は悩みましたが、白と銀色を混ぜて描けばきれいだと自分で発見していました。水彩のにじみ加減もよく味わい深い絵になりました。

18日(金)
まゆちゃんは「きょうはドールハウスを作る」と決めていたので来るなり早速取り掛かりました。いろんな素材を使いながら着々と作り上げ時間ぎりぎりまでやっても完成しなかったので続きはまた次回します。さえちゃんは金魚を描きました。始まる前にお母さんから「絵の具をぐちゃぐちゃにしちゃだめよ」と釘をさされたのを忠実に守り今日はとてもきれいな色で描きました。その後まゆちゃんの横でおうちを作りました。「ハムスターのおうちで鍵がかかって開けられないおうちなの」ということです。その通りビニールテープ5本でしっかり入り口は閉じられていました。いつも元気なあつしくんはまったく元気のない姿でやってきたので「どうしたの」と聞くと「自転車でひっくり返って怪我をした」と言います。治療済みで大きな絆創膏を貼ったところを見せてくれました。今にも泣き出しそうなのを我慢しているという風で、今日はずっと消え入るような声でした。絵はくれよんと絵の具を併用した抽象画ですが一つ一つの線、色、形がしっかり自己主張していて力強く、気品も感じる良い絵です。しゅんくんは金魚を描きました。1枚目は失敗したと言って途中でやめましたが2枚目はひれのつき方、えらの位置などしっかり意識して描きました。残った時間で新聞紙の剣を作りました。きおかちゃん、あさひちゃんは並んで金魚を描きました。オレンジ、黄色、赤を出して気に入った色で金魚を数匹描いていきました。「描けたらどうするの」と聞くので「金魚が気持ちよく散歩してるところを考えてね」と言うと水草を描いていました。きおかちゃんは水を下の方にだけ塗って仕上げました。残った時間で天の川を作りました。あさひちゃんはまゆちゃんの作っていたドールハウスに興味があり「あれを作る」というので時間があまりなかったのですができるところまで作りました。続きはまた次回します。さやかちゃんはきれいな色で金魚を描きました。金魚だけ描いて「もう終わり」というので「金魚を楽しくさせてあげてね」というと「じゃあ、ぶらんこかいてあげよう」と描きました。そのあとは大好きなマーカーでいつものたくさんの顔を画用紙数枚に描きました。まりんちゃんは金魚を描いた後、水を表現するのに行き詰っていたので、刷毛を使用した方法を教えてあげると、水のにじみ方の面白さに興味を示しとても嬉しそうに描きあげました。そのとなりでまほちゃんも金魚を描き上げて水を塗っているところだったので「まほちゃんも刷毛を使ってみる?」と誘ってみましたが「筆で塗る」と言って最後まで仕上げました。振り替え出席のゆうきくんは金魚の顔から描いていきました。特大の大きさで画用紙2枚にわたります。細かい部分もよく観察して描けました。後ろの余ったところには「金魚」と文字も入れました。


22日(水)
びっくり工作の「さそりの標本」をアレンジしたものを見本に用意しました。最初にやってきた子からびっくりさせられ、次に来る子を待ち構えては自分もびっくりして楽しみました。もとかずくんだけは「むしかごつくるー」とすぐに箱を探しに行きましたが他の子は仕掛け作りから始めました。次にしかけ本体の音を大きくするための紙に好きな絵を描きます。最後に包み紙のデザインを工夫して描きます。見本は「こわーいむし」と題していましたが、こどもたちは「プレゼント」とのほうがだまされやすくて面白いと言う意見が圧倒的でした。ゆうりちゃん、ひかるちゃん、ゆりこちゃんはかわいい絵柄にしてプレゼントにしました。あまった時間でゆうりちゃんは折り紙でわなげゲーム、ひかるちゃんと、ゆりこちゃんは前回見本の夏の飾り「あまのがわ」を作りました。まいちゃんは蝶の絵柄にしてプレゼントにしました。ゆうきくんはカブトムシの絵を精巧に描いていました。なおきくん(N)は木に止まったカブトムシの絵にしていました。ゆうきくんとなおき(N)くんは余った時間で左右対称の切紙細工による虫作りをしました。デカルコマニー技法の見本も見せたところ、色の面白さより、虫本来の形にふたりとも興味を示したので、切紙細工にしました。なおき(N)くんにはちょっと難しかったのか向きを間違えたりして思い通りの形になかなかできませんでした。でも熱心に何度も挑戦していました。ゆうきくんは細かいことは得意で上手に作っていました。振り替え出席のまゆちゃんは前回の続きのドールハウスを作りました。さえちゃんは「びっくり虫」を作った後、布と割り箸を使った工作をしていましたが、その後は「おんぶして」とずっと私の背中にのっていました。ななみちゃんは仕掛けを作るところまではすいすいとできたのですが絵を描くことになるととまってしまいました。何でも好きなもので良いんだよと言ってもその好きなものがなかなか決まりません。自分自身で決定するということをクリアするには自分に自信を持てるように徐々に心を開放していく作業が必要になってきます。自分で考えたことを色や形で表現するというアートワークは「自分になる」作業でもあります。人の目や評価を気にせず伸びやかに創作ができるようななみちゃんの呼吸に合わせて進め方を考えていきたいと思います。もとかずくんはすっかり自分の世界に入り込み虫作りも割り箸やらテープやらいろんな素材を自分で探しては作っていました。その合間に好きなテレビ番組の話もゆうきくんたちとしてずっと楽しそうでした。6月の振り替え出席のななこちゃんもびっくりおもちゃを作りました。カラフルで楽しいかにの絵を描いていました。残った時間で折り紙遊びをしました。凝ったお花を作って私に「ハイあげる」と持ってきてくれました。

25日(金)
「びっくり虫」はこどもたちには受けが良いようです。しゅんくんとあつしくんは面白がって何度も遊んだ割にはこんなの作らないと言い、デカルコマニーの虫作り用に用意していた小さな画用紙を見せるとその画用紙が気に入ってふたりで手紙ごっこを始めました。何枚も手紙を書いて最後にポストを作りました。振り替え出席のなおきくん(N)はそんなふたりの様子に興味を持ち、同じ画用紙に迷路の手紙をたくさん描きました。そしてポストも作りました。女の子たちはみんな「びっくり虫」を作りましたが牛乳パックは硬いので自分で切るのは難しいようでした。仕掛け部分は大人が手伝って作り、絵を考えてそれぞれの作品を仕上げていきました。あさひちゃんが前回の続きのドールハウスづくりをすることになっていたので他の子も興味を持ち、素材置き場からそれぞれ箱を探しにいきました。あさひちゃんの家は大きいので作るのが大変です。ひとりで黙々と作っていましたが未完成なので次回もします。振り替え出席のりょうちゃんは2階建てで三角屋根の形にしました。布も使い、ベッドやいすも作りました。階段をつけるところまでできました。次回持越しです。さやかちゃんはすべりだいやシーソーのある楽しい家を考えました。アイデアは豊富なのですが手がちょっとついていかないので一緒に作りました。まほちゃんは家と動物園の合体した建物を考えました。壁は画用紙で作り、模様をくれよんで描きました。明るい色使いは個性的でまほちゃん独特のカラーを持っています。きおかちゃんはいろんな布をパッチワーク風に貼っています。私が話しかけると「みちゃだめ」といいます。でも楽しそうに作っていました。まりんちゃんも小さく布を切っていっぱい家に貼っていました。満足いく仕上がりのようで、中の説明もしてくれました。振り替え出席のひろゆきくんは「びっくり虫」を亀の絵にしました。包み紙は遊園地チケットにしていました。自由工作でぱっくんと口のあく生き物を作った後、女の子たちがドールハウスを作る様子を見て、箱でロボットを作りました。


26日(土)
「びっくり虫」はみんなの興味を引いたようです。りゅういちくん、こうきくんはいち早く作り始め、気に入って何個も作りました。飛ぶほうが面白いということで、見本では音が大きく鳴るように紙にホッチキスでとめてあったのですが、とめずに飛ばす方法を選びました。そのうちしかけ本体そのものをせみに見立てて単独で飛ばす方法も考え出しました。ふたりで試行錯誤しながら面白い遊び方を工夫する様子はとても頼もしく感じます。ノラちゃんは「びっくり虫」の包み紙のデザインなども工夫を凝らして丁寧に描きました。できあがった作品を付き添いのおとうさんに見せたらとてもリアルに驚いてくれて楽しそうでした。残った時間でデカルコマニーの虫を作りました。りょうたろうくんも「びっくり虫」を楽しんで作っていました。牛乳パックは少し硬いのですががんばって切りました。虫が大好きで、見本においてあった図鑑を見ながらたくさんお話してくれました。その後デカルコマニーの虫を作りました。いろんなきれいな模様の虫ができるのが嬉しくてたくさん作りました。なおき(T)くんと、だいきくんは今日はふたりともが甘えん坊でわたしにおんぶにだっこという状態でした。見本で遊ぶのは楽しいようでたくさん遊びました。なおきくん(T)は牛乳パックは硬すぎることもあって、線どおりに切るのが難しいようでした。仕掛け本体はゴムを巻きすぎて曲がってしまったりしていましたが、何とか作り上げました。出来上がると何度もちゃんと動くか試していました。こうきくんは「びっくり虫」を作った後デカルコマニーに誘いましたが「絵を描きたい」というので画用紙を渡しました。スポンジを使って「カブトムシだ」といって描いていたのですがそのうち水浸し状態となり途中で待ったをかけました。


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