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豊中美術研究所 こども図画工作教室(児童画教室)

2003年9月号
『アトリエだより』はアトリエでのこどもたちの様子を
ご家庭にお知らせするため毎月1回発行している教室通信です。
(Web公開用に記事を再編集してあります)
●水曜クラス ●金曜クラス●土曜クラス(文字色を分けています)
2003年9月
10日(水)
9月はお月見もあり、また今年は火星大接近ということでテーマは「宇宙」です。形の基本となる丸を意識することも兼ねて星を描きます。宇宙空間を塗り、スパッタリング技法で銀河など無数の星を表現します。さらに、イマジネーションを広げられる子は他の惑星や宇宙人なども描きます。工作はエイリアン変声機です。空気の振動を利用して声を変えます。もとかずくんは「ぼく、宇宙より、虫とか魚のほうが好き」と言って画用紙に、かめと黒でめきんが池で泳いでいるところを描きました。乾かす間に素材置き場から長い箱を見つけて電車を作りました。窓や、ドアを開けてというので、開けたい部分をマーカーで描いてもらい、こちらで開けました。「阪急電車」だそうで、色を塗っていました。後半は絵の続きで「これは死んだカブトムシ、こっちは生きてるカブトムシ」とお話しながら描いていました。なおき(N)くんは一通り課題を見たあと、用意していた宇宙関連の絵本や百科事典が気に入ったらしくずっと読んでいました。途中何度か声掛けをしたのですが4時になってからようやく変声機を作り始めました。材料を切って模様を描いている所で時間となってしまいました。迎えに来たお母さんには「きょうはいっぱいやったよ」と言って、さっさと作りかけの材料を片付けていました。本を読みながら頭の中でいっぱい何かを考えていたのがいっぱいやったような気になったのかもしれません。ゆりこちゃんは変声機を見ると「これ4つ作るからね、材料ちゃんとちょうだいね」と張り切っていました。私が材料をそろえている間に宇宙の絵から始めました。「丸がうまくかけない」と言います。本人が自分の描いたものに納得していないので「まず中心の赤ちゃん星から描くよ」と順に正円を描けるようにやっていきました。(大人から見ていびつに見えても本人が納得していれば描き直しはさせません)スパッタリングはかなり気に入り長い間やっていました。変声機は二つ仕上げて残りは家でする事にしました。ゆうりちゃんはくれよんで丁寧に星を描き、宇宙空間も良い色合いで塗っていました。途中絵の具が足りなくなって同じ色を作ろうと苦労していましたが、「それは難しいし、宇宙はいろんな色が混ざり合っているから、かえって変化があって良いよ」と話しました。スパッタリングは「わーきれい」と感動しながら制作していました。ひかるちゃんは最初は元気がなくじっとしていましたが、しばらくして、火星の話をすると昨日見たよと話してくれました。それから元気になって工作を始めました。トレーシングペーパーを切るのが難しいらしく、3度ほど失敗が続きました。それでも、いらいらすることも、投げ出すこともなく、がんばってやり直しました。二つ目を作っている最中にお母さんが迎えに来ましたが「仕上げて帰る」と最後まで残って作りました。ゆうきくん、まいちゃんは並んで描き始めましたが、途中から持参のポケモンの本の取り合いとなりました。ゆうきくんはひとつキャラクターを鉛筆書きしたのでそれをまず仕上げることにしました。顔とからだはぼかしが入っていて選んだ画材のマーカーでは表現できないためそこだけ絵の具を使用して、ぼかしの描き方を練習しました。もうひとつ描きたかったのですがまいちゃんが本を見せてくれないということで止まってしまいました。そこで「このキャラクターのステージを考えて描いたらどうかな」と提案しましたが筆は進みませんでした。まいちゃんはがんばってお母さんと離れた後、ミッキーを描いていたのですが、ゆうきくんの本のほうがよく見えたのか同じ本を見ながら描き始めました。ひとつ書き上げたら色を塗っていこうねと声をかけたのですが、一言もしゃべらず頑なに拒んで最後まで鉛筆だけでひたすらキャラクターを描き続けていました。ななみちゃんはお母さんがいなくなってしまうとじっとすわって動きません。しばらくすると、「10数えたのにお母さん来ない」というので、「どうしたの」と聞くと「10秒したらもどってくるって言ったのにこない」といいます。「学校にもお母さん来てるの」と聞くと「学校には来ないよ」とお話してくれるのでしばらくおしゃべりしました。そのうち描く気になってきました。「丸が描けない」という状態だったので点を打つところから始めました。弱々しかった星もしっかり塗るようにもっていきました。途中でお母さんが戻って来ると好きな色を選んでねと言っても「この色で良いかどうかお母さんに聞いてくる」と言います。「お母さんには聞かなくても良いんだよ、自分で決めれば良いんだよ」と話しました。スパッタリングは気に入ったようで楽しそうにやっていました。まゆ(T)ちゃんは課題の説明をすると、静かに作業を進めていきます。宇宙の色は「見たことないからわからない」というので一緒に本を見ました。宇宙の色を作り丁寧に塗りました。スパッタリングも上手にできています。振り替え出席のまゆ(K)ちゃんはドールハウスの仕上げをしました。入り口部分を開閉できるようにしたいということでしばらく考えた末、好きな布でリボンを作り、それを利用したものにしました。アイデアあふれる作品となりました。同じく振り替え出席のさえちゃんは絵の具を直接画用紙の上に搾り出して大胆に星を描いていました。宇宙空間は赤色で描きました。スパッタリングはかなり長い間やっていました。なかなか個性的な良い感じの宇宙空間となりました。


12日(金)
大泣きでやってきたあさひちゃんですが、しばらくお母さんと離れるタイミングを見ながら最終的には引き離した感じとなって始まりました。他の子はある程度制作が進んだ状態だったので、あさひちゃんを抱っこしながら進めていきました。あさひちゃんが大きな声で泣いていた為、それに圧倒されて他の子はいつもよりおとなしく自分の作業をしていたという雰囲気です。10分ほどたってから、まず「一人ですわれるかな」と離してみますと座れました。くれよんを前において「好きな色を選んでおいてね」と言ってしばらく離れると次第に泣き止み静かになりました。そこで、くれよんセットを目の前に差し出して「どの色にする?」と聞くとすっと黄緑色を手にとりました。「最初は小さな赤ちゃんの星を描いてね」と言うとしっかりした筆致で描きだしたのでもう大丈夫と確信がもてました。スパッタリングはきおかちゃんと並んでやりました。惑星の模様も自分で考えて描きました。まほちゃんはくれよんで星を描き宇宙空間を塗るところまで順調に進んでいました。スパッタリングが難しくきれいに絵の具が飛ばないので向きを変えたり、両手でやってみたりいろいろやり方を模索していると隣でさえちゃんがいとも簡単にしゅぱしゅぱと豪快に飛ばしているのを見て、真似したりしました。そのうちに上手になってきてきれいな銀河ができました。気づくと髪にも顔にもいっぱい絵の具がかかっていたぐらい大奮闘していました。あさひちゃんが落ち着くとまほちゃんはうらやましかったのか抱きついてきたので抱っこしたまま惑星にする紙を選びにいくと嬉しそうにしていました。きおかちゃんは最初の赤ちゃん星を描き出すまで少し時間がかかりましたが描きだすとどんどん進めていきました。宇宙空間は広いので何度も絵の具を作り足して塗っていきました。スパッタリングも前半はうまくできました。途中絵の具が足りなくなって足した時、水を入れるのを忘れちょっと思うようにいかなかったようです。さえちゃんは惑星や宇宙人には興味はなく、スパッタリングが気に入っていて今日は2枚仕上げました。宇宙空間は刷毛ですばやく仕上げ、長い時間かけてスパッタリングをしていました。まゆ(K)ちゃんはゆうりちゃんと相談しながら色作りしたりおしゃべりを楽しみつつ制作していました。スパッタリングの方法は説明する前にやり方を理解していてこちらが気づくと仕上げていたという感じです。振り替え出席のゆうりちゃんは前回の仕上げをしました。アイデアをいろいろ練ってユーフォーや惑星を作りました。残った時間でエイリアン変声機を作りました。どちらも丁寧な仕上がりです。振り替え出席のひかるちゃんは「この間と同じ工作がいい」というのでエイリアン変声機を作りました。やはりトレーシングペーパーを切るのは難しいようでしたが今日は2枚目で成功させました。同じ課題を続けてすることではさみの扱いは上達したと思います。あつしくんは「ブラックホールを描く」と言ってなかなか良い色合いの宇宙空間を描いていました。しゅんくんは星を描いた後宇宙空間を描き順調に制作を進めました。宇宙人などもユニークな発想で描かれています。二人とも絵ができると自由工作のため材料を素材置き場から集めました。たまたま普通のバケツを水入れ代わりに使っていたあつしくんは集めたダンボールやテープの芯などをそのバケツに入れ始めました。ふやけていく様子が面白かったのかあつしくんとしゅんくん二人で、持ってきた材料全部を投入しました。さてこの後どうするのかなと見ていましたら、お迎えにやってきたお母さんに「なんてことしてるの」と怒られてしまいました。私としては素材体験と思って二人を見守っていたのでどうしようかと思いました。紙でできた素材は破ったり、切ったり、組み立てて何かを形作る造形の方法が一般的ですが、火を使って焦がしたり、水でどろどろの状態にして絵を作るという方法もあります。紙は水に浸せばふやけて、形を変えます。課題ではありませんでしたが、ふたりは素材に対する興味関心が強く、またそれを発見して面白いと感じている状態はまさに創作活動中だったのです。既成概念にとらわれず自由な発想ができるという風に考えていただけたらと思います。同じことを学校や家庭ですれば怒られる行為かもしれませんが、ここでは創作活動に関することであれば自分の意思で自由にして良いというのが基本です。守ってほしいことは他人の制作物にいたずらしたり、活動の邪魔をしないこと、一般クラスの描きかけのモチーフや絵をさわらないことなどです。面白そうなものがたくさんある中でこどもたちはよく守ってくれています。さて、おとなしくなったふたりと水の中のものを取り出して変化した紙の様子を見ました。水分を取り「これでなにつくる?」と聞くとあつしくんは「ロボットにしようかな」と言いつつセロテープでくっつけようとしますがぬれているためくっつきません。どうしようかと困った様子になったので、カラー紐を渡しました。渡しただけで結び方などは教えませんでしたがあつしくんも私に聞くことなく一人で奮闘していました。しゅんくんは他の素材を使って自由工作をしました。工作は大好きで集中すると黙々と作り続けます。


13日(土)
1番にやってきたりゅういちくんは「火星見たよ」とお話してくれました。少しの間一緒に絵本を読みました。こうきくんが来ると一緒にエイリアン変声機を作り始めました。二人ともカッターナイフの使い方を練習しました。出来上がると早速ごっこ遊びが始まりそれにつられてほかの子も加わりだんだんエスカレートして一時は走り回る大騒ぎとなってしまいました。何度か注意してしばらくして落ち着きました。本当は心ゆくまで走って遊ばせてあげたいのですがアトリエ内は危険なものがたくさんあるのでちょっと我慢していただいています。りょうちゃんは宇宙の絵から始めました。星を好きな大きさまで描き、宇宙空間を塗り、乾かし、スパッタリング技法で銀河をつくり・・・と周りがうるさいにも関わらずすべて順調に自分のペースで制作していました。工作もしました。カッターナイフの練習もして、2箇所は自分で切りました。複雑な切り込みのある円を切る方法も説明しますと、ちゃんと理解して切っていました。ひろゆきくんは拾ったどんぐりを持ってきました。「これを使って何かを作りたい」と言います。しばらくしてマラカスのような音の出るものを作ることに決めました。型を取るのが難しかったようで少し手伝いました。絵の具を使った子が机の上をあちらこちら絵の具だらけにしてしまっていたので汚れていないところを探して隅っこのほうで作っていました。気に入ったものができたようです。りょうたろうくんは「宇宙を描く」と言って、すぐに描き出しました。星をたくさん描いて「できた」と言うので次に宇宙空間の色を作りました。たくさんの色を出して最初は一色ずつ塗り最後は全部混ぜ合わせて塗っていました。乾かす間に絵の具セットをきれいに洗ってきました。とてもきれい好きでいつもパレットをぴかぴかに洗い上げます。画面が乾いてから銀河をスパッタリングで表現しました。宇宙船をくれよんで描いて貼りました。具体的な形はまだ描きませんが制作意欲は旺盛です。だいきくんは「星は描かない」と言い絵の具を何色か出して画用紙に塗り始めました。そのうち水が多くなり、筆を置き、手で塗っていき、さらにバケツをもちあげ、中の水を画用紙の上に流しかけたところでストップをかけました。画用紙の上で海になってしまった水分をふき取ってからも、手はどんどん画用紙を削ってゆくのでそこにのりを流し込んであげました。「わー、きもちいい。もっといれてー」と言います。画用紙に塗り広げるとなくなり、また集めます。量を少し増やすために、ティッシュを1枚持たせると丸い塊ができました。色が汚かったので「きれいな色にしようか」と誘いました。「紫がいい」と言うので左手に青右手に赤を入れてあげました。ぐちゃぐちゃ混ぜて「おーすごい、紫になった」と喜んでいました。不思議だったのか、「青と黄色は混ぜたら何になるの。」など質問をいくつかしてくれました。最後は「あー楽しかった」と満足感いっぱいあふれる笑顔でした。はるきくんは宇宙の絵も描きたくないと言いますし工作もいやと言い「好きな絵を描く。今日は色をつけるから」と言うので画用紙を渡しました。ある程度描いたところで「そろそろ色を塗り始めたほうが良いんじゃない」と声をかけて色鉛筆を渡しましたが結局鉛筆書きのままで終わってしまいました。誘いにのって来てくれれば方向性を探りながら進めていけるのですが最初の段階でノーと言うことが多いのでどうしようかなと考えています。今日から入会のひさたかくんはよくおしゃべりもしてくれて楽しく制作できています。筆致もしっかりしていますし、画材の使い方も説明すると上手に扱えていました。想像力も豊かでロケットや惑星なども個性的に描けています。なおきくん(T)は久しぶりに、お父さんでなく、お母さんと一緒に来ました。前回のアトリエ便り39をまだ読んでいらっしゃらなかったので、こどもが絵を描く、ものを作る意味を理解していただきたいと思い、お電話でもお話しました。大人から見て稚拙であっても自分の意思で表現していかなければ造形活動の意味がありません。人間は自分で選択し自分の意思で生きていかなければなりません。うまくいかなくても自分で引き受けていかなくてはならないことがこれからたくさん出てきます。宇宙の課題を提示して、最初に星を描くよというとこどもたちは様々に反応します。話を聞かずにいきなり描きだしたり、自分の好きな星を描く子もいます。どう描くのかわからなくて次の言葉を待っている子もいれば、先生の話はちゃんと聞かなくてはと律儀に聞いている子もいます。どの子もそれぞれにそれでいいのです。ひとりひとり違っていて当たり前なのです。今回課題で星を丸にしたのは絵が描けない子のためなのです。形の基本である丸を体感するために取り入れました。描ける子は自分の想像する宇宙を自由に描いて良いのです。星と聞いてお母さんはなおき(T)くんに三角を組み合わせた星型を描くよう促し描かせ、私には「この子星が描けないんですよ。どうすれば描ける様になるのでしょう」と質問されました。正確に言うとこれは「記号の☆」のことです。記号の星は誰でも描きたいと思い練習すれば描ける様になる時がきます。でもそれは重要なことではありません。星と聞いてお月見や星座を連想したり、家族で望遠鏡で見たなと思い出したり、図鑑で見た太陽や土星や銀河をイメージする人もいるでしょう。涙というテーマなら嬉しい時、悲しい時、こわかった時、大笑いした時、いろんなシーンでの涙があります。テーマを聞いて豊かなイメージが出来るかどうかが大事なのです。豊かなイメージを育むには豊かな体験が必要です。星の記号の描き方を教えるよりも一緒に団子を作ってススキを飾りお月様を眺めながらうさぎや月のお話をしてあげる、そういう時間を持つほうが大切です。将来絵とは全く関係ない仕事をするにしても、家庭生活を営むにしても豊かに発想できる人は豊かに生きていけると思います。こどもが絵を描いたり、ものを作ったりするのは自分自身で決定し、創作することで、自分と向き合い自立する力を養っていくものと思っています。こどもの造形活動は内発的な感性に支えられて展開していきます。自由にのびのびと解放するだけでなく主体的に活動し、イメージを作るという知的操作をくぐらせる事によって感性を磨き上げていくことが生きる力となっていくのです。「自由に描いて良いよ」と言ってあげて毎回描ける子がいればそれが一番良いのです。でもそれでは描けない子がいます。自由というのは以外に不自由で同じパターンのものしか描けない子が多くなります。テーマを与えて枠を作ってあげたほうが描きやすくなります。また、様々な技法を知ることは楽しく表現の幅を広げます。テーマを与えられて、それに思いを馳せる事で興味対象の幅を広げます。既成概念を破ることも柔軟な思考を育てます。すぐに結果は目の前には現れないけれど、生きていくうえで大切なことを造形という遊びの中から学んでいるのだと考えてください。

20日(土)
工作は空気を利用して発射する「ロケット」、絵画は「家族」がテーマです。こうきくんは「今日の工作は何?」とやってきました。絵画はいやということでした。ロケットの発射台はビニール袋を隙間なくぴったりと芯に取り付けるところが難しい部分です。それさえ出来ればあとは好きなデザインでロケットを作ります。こうきくんはよく考えて作りました。その後残っていた材料にぴかぴかな模様を施し「長い袋がほしい」と言うのでかさ袋を渡すと、とても立派なヌンチャクを作りました。しかしふりまわすとあちこちぶつけそうになるので「上下左右に気をつけてやってねー」とお願いしました。だいきくんも「家族の絵なんていやだ」と言って工作をしました。ロケットのデザインは「先生かいてよー」と甘えてくるので好きな色を選ぶところから始めて自分で描ける様に少しずつもって行きました。出来上がると「前にやったやつがやりたい」と言いバケツにのりとティッシュと水を混ぜてこねこねしていました。終わるころに「ほんとのスライムが作りたいよ」と言ってました。りょうちゃんは絵画を選択しました。自分と、お父さん、お母さんを描いて「できた」と止まってしまったので「お父さんは何が好きかな?お母さんは何が好きかな?」と対話していくとイメージが広がっていき、お父さんは大好きなビールを持っているところ、お母さんはたまごやきを焼いているところ、りょうちゃん自身は大好きなスイミングのかばんを持っているところを描くことにしました。部屋の様子も思い出して描きました。ロケット作りもしました。りょうたろうくんは来るとすぐに絵の具の用意を始めました。「家族の絵を描いてみる?家族っていうのは一緒におうちに住んでいる人のことだよ」と誘うとウンと言って描き始めたものの描いているうちに色ぬりそのものが面白くなって画面いっぱいにいろんな色を塗りこみました。「何を描いたの」と聞くと「これは事件が起こったの」といいます。2枚目は「がいこつマンがやってきて戦っているところ」だそうです。形は出現していませんがお話しはよくしてくれます。描きながら自分の空想の世界で遊んでいるという感じです。2枚描くと満足してパレットを洗いにいきました。ロケットの工作をしてお友達と飛ばしっこをして楽しみました。積極的に創作活動が出来ています。ひろゆきくんは工作を選択しました。ロケットのデザインはユニークです。工夫するのが好きで発射台のビニール袋のつなぎ部分も、少し遊んでは、はずして張り替えたりと改良を加えながら作っていました。はるきくんは「なんにもしたくない」と言います。「絵は嫌い?」と聞くと「ううん、好き」と言います。対話していくと「漫画家になりたい」と言います。「描けへんかったらお母さんにおこられるなー」とも言うので「怒られるから描くなんて変だよ」と話しました。漫画家はお母さんに描くのをやめなさいと言われてもそれでも描きたくてたまらないという人たちだということ、漫画の絵を描くなら画用紙よりケント紙のほうが向いている事など画材の説明を少ししてケント紙を渡しました。すると鉛筆でオリジナルキャラクターを描き始めました。2枚、ぎっしりと描きました。


24日(水)
一人で元気に部屋に入ってきたななみちゃんは今日の課題を聞くと工作を選択して作り始めました。発射台は空気漏れがない様に念を入れて作りました。ロケットにガムテープを均一にはろうとして四苦八苦していました。紙コップの側面はまっすぐではないので、テープを貼る時は細いものを使うか少しずつ切ったものを貼っていくしかありません。そのことを説明すると納得して後はスムーズに制作できました。ゆりこちゃんは「絶対工作する。家族の絵は描かないよ」ということでロケットを作りました。紙で円錐を作るところが難しかったようですがやり直しをして上手にできました。出来ない時にもやり直す前にいろいろ工夫を凝らして考える様子がみられます。後半は前回の続きの宇宙の絵に新たにいくつもの星を加えそれぞれの星の住人たちを描きこんでいきました。さらに、余っている素材でマラカスやたこ人形、コップ剣玉、糸電話など自分で考えて次々と作り出していました。糸電話の糸を割り箸に結ぶのだけは出来なかったので手伝いました。ひかるちゃんもロケットを作りました。円錐も説明をよく聞いてひとりで作りました。発射台は空気漏れがあり最後にテープを足して貼りました。余った時間でゆりこちゃんと一緒にたこ人形、コップ剣玉、糸電話を作りました。ゆうりちゃんも工作をしました。テープを丁寧にはりロケットのデザインも工夫しました。時間をかけてじっくりと作りました。なおきくん(N)はピチューのおもちゃを持ってきて「今日はこれを描くよ。鉛筆で描きたい」というのでケント紙を渡しました。「わーい、すごくつるつるだー」と紙の感触を楽しんだ後丁寧にピチューを描きました。ヘイガニも描いてしばらくは他の子の工作や絵などを見たりしていました。そのうち「ステージを描こうかな」と言ってマーカーで嵐の様子を描いていきました。嵐はどんどんひどくなって丁寧に描いていた絵は消えてしまいました。が、本人は描きながらお話を演じていて終わったときは満足そうでした。お片付けの時間になってから糸電話を作り始めました。ゆり子ちゃんたちのを見てつくりたくなったのでしょう。もとかずくんはまず、ロケットの発射台を作りました。ロケットにはあまり興味がなく「絵が描きたい」と言うので画用紙を渡しました。1枚目は絵の具でウルトラマンと怪獣と出目金の絵を描きました。まゆちゃん(T)がありを描くのに「本を見る」と言うと「僕も見る」と言って2枚目は本を見ながらマーカーで虫の絵を描きました。虫の形は特徴をよく捉えていて構図も面白いです。「虫が大好き」という気持ちが伝わってくるいい絵です。3枚目は魚の絵を描きました。まゆちゃん(T)は前回の続きの宇宙の絵の仕上げをしました。マーブリングした紙で星を作り貼りました。星は全部違う大きさにしました。星にはそれぞれの住人を描きました。小さな星にはありを住まわせたいけれどありが描けないというので本を見て描きました。アイデアが豊富で星を貼るバランスなどにもセンスが感じられます。工作もしました。発射台にかなりの時間をかけてデザインしていたのでロケットはまた今度作ることにしました。振り替え出席のひさたかくんは来るとすぐに絵の具の用意をしたので「家族」のテーマを伝えると「やっくんのはなし」をしてくれました。弟のやっくん、お母さん、お父さん、自分の順で描きました。車と、電車も描きました。車と電車に乗ってお出かけする話をしてくれました。伸びやかな筆遣いで描けています。絵の具を片付けてから工作をしました。ゆうきくんは工作を選択しました。ロケットはびっしりとテープを貼って重厚なデザインにしていました。残った時間で持っていたキーホルダーの模様の模写をしたり切り紙細工をしました。まいちゃんはお母さんと離れた後すぐに泣きやみましたが一言もしゃべらず動かなくなってしまいました。工作を勧めてみたり、絵に誘ってみたりしましたがうんともすんとも反応がありません。様子を見ながらお話ししてみましたがとっかかりが作れず何もしないまま終わりました。


26日(金)
振り替え出席のなおき(T)くんは紙鉄砲を作りたいと言うので紙を渡しました。でも作り方を忘れてしまったのでおりがみの本を見て一緒に作りました。次にロケットを作りました。今日はしゅんくんが誘ってくれるので一緒にベイブレードを作ったり太鼓パフォーマンスをしたりして遊びました。自分で材料を探してきて自由工作もしました。お話もよく出来ますし積極的に活動できています。しゅんくんは字に興味を持っているらしく、字を画用紙に描き「本を作りたい」と言うので簡単に製本をしました。表紙には「漢字ノート」と鉛筆で描きました。その後いろんな材料で自由工作をしました。今日はなおき(T)くんに興味があり一緒につくろうと誘っていました。次から次と作りたいものがあり、めまぐるしく作っては遊んでいました。今日も大泣きでやってきたあさひちゃんです。ほかの子がそれぞれ自分のしたいことを決めて取り掛かってからお母さんと離れてもらいました。5分ほどは私に抱っこされたまま大音量で泣いていました。次の段階に進む子が出てきたのでおろすとすぐに泣きやみました。絵と工作どちらにする?と聞くと「工作」と答えたので材料を渡すとすぐに作り始めました。発射台は順調に出来ました。紙コップを渡して「ロケットは動物型にしてもいいし、とんがり帽子型にしてもいいし、好きな形にして良いよ」と言うと困った顔になりました。「自分で考えてね。ゆっくり考えて良いんだよ」と言うと首を横に振って涙ぐんでいます。「どうして良いのかわからないの?」と聞くとうなずきました。どうやらすぐに次の指示をしてほしいようです。そこでもう一度「ロケットは紙コップのままでもちゃんと飛ぶので自分がかっこいいなーと思うデザインにしてよいのだよ」ということを具体例を挙げて説明しました。すると紙コップに絵を描くことに決めました。マーカーを使って「顔」を二つ描きました。次に「家族」のテーマで絵も描きました。描き出すときおかちゃんが話しかけてきたりもして笑顔が出てきました。しっかりした筆致で、お話もよくしてくれました。画用紙2枚を使っておうちの中から家族みんなで花火を見ているところを描きました。最初の大泣きは続くようでも心配はいらないと思います。むしろあれだけしっかり泣けるということはタフな証拠です。まほちゃんは工作を選択しました。ロケットはとんがり帽子型にしました。飲み込みも早く少し説明するだけで自分で考えて作っていけます。「家族」のテーマで描いた絵は「妹が(まだ生まれて)いないときの絵が描きたいの」と言ってお母さんとお父さんと、自分だけになっています。台所の場面で画面左にはテーブルといす、テーブルには玉子焼きがのっています。階段があって、中央に自分とお母さんを描きました。冷蔵庫の中にはお父さんの好きなキャベツがはいっています。画用紙2枚をつなげて描きました。しっかりしたまほちゃんですが絵の中で両親の愛を独り占めできることが嬉しいのだと思います。だからと言って愛情が不足しているとかそういうことではありません。兄弟がいればどの子も似たような感情を持つものだと思います。それを素直に絵で表現することで心のバランスは取れていると思います。家族の絵なのに妹がいないねとは言わないで素敵な絵だねってほめてあげてください。きおかちゃんはひとりでお部屋に入ってきました。来た時からとってもおしゃべりです。「家族」のテーマを告げると弟のあゆむくんのお話をしてくれました。お鼻をひっかかれたことや何でもかじってしまうことなどひとしきり話すと絵を描き始めました。家の絵を描いて「おしまい」と言うので「あゆむくんは描かないの?」と聞くと「描かないよ。誰も描かない」と言います。「せっかくお話しいっぱいしてくれたから描いてほしいなー」というと「じゃあ真っ黒黒のあゆむくんにしよう」と言って描きました。お母さんも真っ黒、お父さんは水色、自分はオレンジで描きました。ほんとは描きたくないけど先生が描いてと言うので仕方なく描いてあげたのよという感じです。「あゆむくんはウンチをしているところ、おとうさんはハゲ、おかあさんもハゲなんだー」と言ってまわりの笑いを誘っていました。幼稚園で手に絵の具を塗る遊びをしたと言って手に水色の絵の具を塗り始めみんなに見せて回りました。私に絵の具をつけてみたり、飛び乗ってきたり、もっと手の中に絵の具を入れてと言ったり、開放感にあふれていました。きおかちゃんの様子を見て、あさひちゃん、まほちゃんも手形押しをしました。工作のロケットも作り、充実した時間を過ごしていました。なんだかいつもと違う、きおかちゃんの一面を見せてくれました。目鼻等がなく人物を塗りつぶしていますが、創作活動は積極的で話をする様子からはとても陽気で明るい印象を受けますので気にされることはないと思います。まゆちゃんは絵画を選択し、福岡ドームで花火を見たところを描きました。印象に残っている花火から描き始めました。ていねいに人物や背景なども描いています。お母さんがダイエーホークスのファンだということなど楽しいお話もいっぱいしてくれました。あつしくんはどの課題にも興味を示さず「ぼくは迷路をかくからね。絵を描くって決まってるんだ」と言って黒色で描きました。後の2枚の絵も抽象的な作品です。面白い線を描くのでこれに色がつけばもっといいのになーと思って誘ってみましたが「これでいいんだよ」ということでした。右利きなので右側に水入れやパレットを置いたほうが描きやすいと説明すると「なんで自由にさせてくれないんだよー」と言います。何か抑圧されたものがたまっているような感じを受けます。学校生活ではきっと自分を抑えなければいけないことがたくさんあるのでしょう。自分というものをしっかり持っているので他人に介入されるのをひどく嫌う面があります。こどもはたいていおかれた環境に順応しようと努力しますので学校では周りに合わせようとどの子もがんばっていることと思います。絵を描くことは心を開放することでもありますので怒りや悲しみも表現の対象になります。あつしくんは描いている時はとても集中しています。ぞんざいに線を引いたりすることはなく、かなりの意識を持って描いているように見受けられます。また、描いたものに対しては本人が納得しているので、何を描いたかよりも、色を作り描くことで気持ちを素直に吐き出すことのほうが今は大切なように思えます。

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