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『アトリエだより』はアトリエでのこどもたちの様子を
ご家庭にお知らせするため毎月1回発行している教室通信です。
(Web公開用に記事を再編集してあります)

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2003年08月

8日(金)
夏休みということで楽しい工作を2品用意しました。「お化け影絵」と「ロボット貯金箱」です。絵画のモチーフには今年も葡萄が数は少ないものの大粒のが実ったので茎ごと切って用意しました。工作は2品とも人気があり、どちらからつくろうかなとみんな迷っていました。振り替え出席のなおき(N)くんは「工作2つともつくるよ」と張り切っていました。貯金箱から作り始めました。「ビー玉を持ってきてん。だからお金じゃなくってビー玉を入れるのにする」ということでお皿に工夫を加えビー玉が転がらないようにしました。影絵は去年も作りましたが今年のは改良版で大きくなっているのでまた喜んで作っていました。「星を描きたいけど上手にかけない」というのでいくつかの描き方を教えてあげると何度も練習していました。まゆちゃん(K)も去年影絵を作っていましたが改良版が気に入ったようで二つも作りました。残った時間でドールハウス作りの続きをしました。さえちゃんはまゆちゃんと並んで影絵を作りました。途中で貯金箱も作りたくなって両方少しづつ作りました。なおき(N)くんが星を描いているのを見て同じ紙がほしくなり「おんなじのちょうだい」というので紙をあげると絵を描きました。後半はのりを手と紙にべっとりと気持ちよさそうにずっと塗りたくっていました。手を洗いに行っては塗りたくりまた洗ってのりを塗り・・・を繰り返していました。きおかちゃんも影絵作りは2回目です。キラキラテープをたくさん貼って作りました。残った時間でロボット貯金箱も作りました。きおかちゃんも星が気に入ったようで飾りも星にしました。星型を切る時、切りにくそうだったので角度の狭い部分の切り方を説明しました。まほちゃんは影絵のほうを選んで作りました。まほちゃんも「星を描きたい」というので描き方を説明しました。残った時間はドールハウスの続きをしました。階段を作りたいというので画用紙を使って階段を作る方法を教えました。好きな高さまで折ってテープで取り付けました。振り替え出席のひろゆきくんは影絵を作りました。いったんもめんのお化けの絵柄にしました。ロボット貯金箱の材料を見て「これちょうだい」と足の部品をいくつかもって行きました。資材置き場から気に入った箱を見つけてきて作ったのはくじ引きボックスでした。

9日(土)
りょうちゃんは絵画、工作の課題を全部見た後、絵画から取り組みました。葡萄の実から描き始め、葉、茎と観察して描きました。葡萄の色など自分で工夫して作っていました。乾かしてから最後に葡萄の輪郭をくれよんでくっきりと浮き立たせました。貯金箱、影絵も次々と手際よく作っていきました。影絵作りでは紙コップをカッターナイフを使って切るのに挑戦しました。なおき(N)くんは今日は落ち着いていて貯金箱作りにじっくり取り組みました。きれいなテープをたくさん使ってロボットのデザインをしました。お金作りが気に入ってたくさんお金を作りました。丸い形もはさみで上手に切っていました。影絵ではなすびの絵を描きました。きれいに絵が写って嬉しそうでした。こうきくんははりきって影絵から作りました。星の絵にしました。貯金箱にも取り組みました。顔のデザインにもこだわって作っていました。だいきくんも影絵が気に入ってなんどもペンライトで遊びながら作りました。材料は切ってあるものを使いましたが、色つきガムテープなど結構切るのに力が入るものも「自分でできる」と積極的にとりくんでいました。貯金箱も仕掛けのところは手伝いましたがロボットのデザインなど考えて作っていました。はるきくんは葡萄を見ても「描きたくないなー」と言い、「好きな絵が描きたい」というので紙を渡すとびっしりとゲームのキャラクターを描いていました。工作は誘っても作りたくはないようでした。そのうち描くかなと思い葡萄と葉を格好よく配置してはるきくんの前においていたのですが、そのままでした。迎えに来たお母さんから「なんで描いてないの」と言われ描き始めました。画面に大きく捉えていて描けば上手なのですがなかなか描くまで気持ちを持っていくのに時間がかかるようです。もっと楽しく描ければいいなと思っています。

13日(水)
お盆休みと重なっていることもあり今日はりょうたろうくんともとかずくんのふたりだけでした。ふたりとも見本の工作も一通り見たり遊んだりしていたものの、カブトムシの話で盛り上がり、りょうたろうくんは絵画で、もとかずくんは工作でカブトムシを表現することとなりました。りょうたろうくんは「カブトムシはこの色、木が大好きやから木も描く」と絵の具を出していきます。お話しながら描き進め、途中からポケモンのキャラクターの名前も出てきてイメージはどんどん広がっていくようです。まだ形をとろうとはしないので大人から見ると抽象画にしか見えませんが本人の中ではかなり具体性を持った絵になっていると思います。積極的に取り組み本人も満足いく仕上がりになっているのでこのまま伸びやかに描けるようおうちでもほめてあげてください。後半は前回製作したデカルコマニーが気に入って今回はカブトムシバージョンをしました。もとかずくんは素材置き場でほしい材料を選んだ後カブトムシを立体工作しました。足の位置や太さなどこだわって作っています。その後大きなカブトムシの絵を1枚描きました。特徴をよく捉えて描けています。工作見本の影絵作りにも取り組み絵はカブトムシにしていました。最後にりょうたろうくんの作っていたデカルコマニーのカブトムシにも興味をもち作りました。カブトムシのことで頭がいっぱいのふたりでした。

22日(金)
あさひちゃん、まりんちゃん、さやかちゃん、しゅんくんは前回お休みだったので影絵、貯金箱の見本を見て影絵から作ることにしました。しゅんくんはいろんなテープや紙を使って作っていきました。お化けの絵は最初「先生描いて」と言いに来ましたが「図鑑見せてあげるから自分で描こうね」と言うと気にいったお化けを探して描いていました。貯金箱は腕の仕掛けを作るところがわからなかったので私に聞きに来ました。すると、そばにいたなおきくんとひろゆきくんが教えてくれました。顔なども工夫して描いていました。女の子たちは久し振りのせいかお母さんたちに甘えてしまい、お母さんの工作教室のような感じになってしまいました。本来なら大人が手出しするのはタブーです。まずはよく話を聞き、よく観察する事ができれば上手な完成品ができなくてもいいのです。失敗したらなぜうまくいかなかったのか考える。そこから学ぶことも大きな意味があります。一つ一つの作業を自分の手でやっていかなくては自分の力にはなりません。また、できないこと、わからないことを私に伝えることも大切です。複数のこどもたちの中で作ることのメリットには友達の作品や作り方などを観察できることもあります。友達の真似は大いに結構です。こどもが成長する過程では真似はプラスに働きます。工作には一応の見本はありますが、そこからはみ出して工夫してほしいしアイデアを練ってほしいとも思っています。見本どおりに早く完成させることが目的ではありません。年齢に応じてできることはゆっくりでもひとりでできたほうが自信になります。どこまで手を貸すかはこどもに応じてその時々の状況を見て判断します。こどもの美術教育にはいろんな考え方がありますが、ここでは自分に自信を持つということを大切にしています。そのために友達とふれあいながら造形という手段で自分を表現する場所と捉えてください。とは言っても今は夏休み中ですし親子でふれあって物を作るというのは別の意味で有意義なことです。なので今日は見守っておりました。(なんだかお母さんたちも楽しそうだったので・・・)今日から入会のまゆちゃん(T)はひとりでも落ち着いていて丁寧に作業をしていました。説明もよく聞けますし影絵の持ち手のデザインも絵を描いた紙を巻いたりして工夫していました。描きすぎて余った絵は「はい、あげる」と言って私にくれました。プラ板の貼り方がわからないと言うのでそこだけ手伝いました。ひとつの作品をじっくり時間をかけて作りました。振り替え出席のなおき(N)くん、ひろゆきくんは「マーブリング」をしました。最初にやり方を説明すると二人ともすぐに理解して制作にかかりました。なおき(N)くんは出来上がった紙でうちわを作りました。この作業が気にいったようで、家族やおじいちゃんおばあちゃんの分も作るとはりきって6枚も作りました。途中「まだまだがんばるぞー」と自分に気合を入れていました。ひろゆきくんはマーブリングした紙を水に見立てて箱に貼り、魚を何匹か描き水族館風に作りました。その後貯金箱ロボットを作りました。コーヒーパックの口の部分を見てアイデアがひらめき「ビー玉ちょうだい」と言うのであげると、口のところからビー玉がちょうど入りました。それでビー玉入れロボットになりました。腕のしかけの仕組みはこちらが説明する前にわかったようでなおきくんと一緒にしゅんくんに教えてあげていました。お金を置くお皿の位置がひっかかってうまく腕が上がらなかったのでそこは剥がしてやり直しをしました。

23日(土)
りゅういちくんは一通り見本を全部見てマーブリングからはじめました。2枚作り、できた紙でうちわを製作しました。その後ロボット貯金箱を作りました。顔や足のデザインに工夫があります。仕掛け部分に興味を示し、よく観察していました。時間はかかりましたが丁寧に制作できました。りょうたろうくんはマーブリングをした紙で木を作ることにしました。カブトムシを作ってとまらせたいと言うのでしっかり立つように土台をつけたかなり大きな作品となりました。木らしくする為に葉の表現方法をこちらから提案しましたが本人は木の幹だけが重要でカブトムシは葉は食べないので必要ないと思っているようでした。でも新聞を丸めたり、半紙を貼って絵の具で葉を表現していくことをひとつひとつ楽しみながら取り組んでいけました。カブトムシはデカルコマニーで作りました。ちょっと足を切るのを間違えて4本足になっていますが、迫力ある作品となっています。りょうちゃんはマーブリングでうちわを製作した後、ドールハウス作りの続きをしました。アイデアがどんどん出てくるようで、階段を仕上げ、マーブリングで床の敷物を作り、ドアを開けました。ドアの部分はカッターナイフを使うので少し手伝い、できるところは自分でしました。こうきくん、だいきくんは、工作の本を持ってきたのですが一度も開くことなくマーブリングに興味を示し早くやりたくて説明を聞くのももどかしいほどでした。こうきくんはうちわを製作した後はるきくんのゲーム作りを手伝いました。その後「ゴムのつなぎ方忘れたから教えて」というので教えてあげるとずっとつないでいました。「どこまでつなげられるかやってみる」と言ってかなり長くつないでいました。だいきくんは水族館の背景にマーブリングした紙を使いました。「さかな描けないから先生描いて」とやってきましたが、絵は自分で描くんだよと言って丸から描くようにお話しながら一緒に手を添えて描いたりしましたが気に入らないようです。私が替わりには描いてくれないとあきらめてしばらく自分で描いていましたがそのうち描いたものをくしゃくしゃに丸めて「かけないよー」となってしまいました。「くしゃくしゃに丸めたのもってきてごらん」と言うと素直に持ってきたので「せっかく描いたから生き返らせてあげようね」と丸めたものをおりがみで包んで立体の魚の形にして見せるととても興味を示しました。くびれの部分をわごむでくくると「自分でする」といって作りはじめさらに金色のテープを貼ってまさしく「金魚」にしていました。そして、もうひとつ自分でつくり今度は銀色にしていました。糸をつけぶらさげるのも積極的に自分から取り組んでいました。貝殻や石の素材も好きなようでいろいろ並べるのが楽しそうでした。はるきくんは自分で考えたゲームを作りたいというので素材置き場から必要なものを選び作りました。「ボールが左右に動くようにしたいんだけど・・・」と相談を受けましたがわごむを利用することぐらいしかその場では思いつかなかったので対話を進めていくと「あ、そうだ」とひらめいたようです。右、左と自分の手で角度をつけて滑らせて動かす方法に落ち着きました。しっかりすべるように土台をつけ底を平らにしました。また得点の大きいところは色をつけてわかりやすいようにしました。牛乳パックがむき出しなので少しデザインも良くしてね、というとキラキラテープを使って仕上げていました。テープ貼りはこうきくんも手伝ってくれました。

25日(月)
月曜日ですが夏休み1日講座の席が空いていましたのでななみちゃん、ゆうきくん、まいちゃんの3名を振り替え出席で来ていただきました。ななみちゃんは高学年むけに用意していたからくり貯金箱の工作に興味を持ちやりたいと言いますので挑戦しました。年齢的に中の部分だけでも完成できれば十分です。展開図を書いたり、ミラーシートを切る、カーターナイフで円を切り抜くと言うのは高学年でもかなり難しい作業です。このあたりは大人の手伝いが必要なところです。正方形を書いて切る、平行線を引く、ミリ単位の細かい正確さが必要とされる作業をしました。カッターナイフも使えるところは使いました。かなり時間がかかりましたががんばって完成させました。ゆうきくんは学校の宿題を持ってきました。マンモスをイメージした自転車は発想がユニークです。水彩絵の具で着色をしましたが途中で終わりました。まいちゃんは何をするか迷っていましたが影絵を選びました。絵をハム太郎にしたいらしいのですがお母さんにくっついてしまい、お母さんの通訳でお話する感じなのでしばらく様子を観るために他の図鑑なども渡して、様子が変わるか待っていました。それでもどうしてもハム太郎から離れられなくなってしまったようなのでキャラクターの載った本を渡しました。キャラクターを描くのは悪くはないのですがそのことを私に直接言えないことが問題として捉えています。作業を始めると丁寧にできますので気持ちの問題だけだと捉えています。この影絵工作は工作としては単純な作業なので後は持ちて部分をアイデアしだいで絵を描いた紙を貼ったりテープを貼ったりしてデザインを考えるところでそれぞれの持ち味が出ます。また、絵の部分はセロテープで貼ってるだけなので簡単に替えることができます。この部分は何枚でも作ることができます。

27日(水)
振り替え出席が多くにぎやかな日となりました。出席予定状況からマーブリング中心にすすめていこうと準備していました。今月初出席のゆうりちゃん、ひかるちゃんには貯金箱、影絵の見本も用意して置きましたが二人もマーブリングを選びました。始めにマーブリングの仕方を一通り説明してできる子にはやってもらいましたが、今日はひとつひとつ指示を送らないと次の動作ができない子が多い状況でした。お母さんから離れられないななみちゃんと、まいちゃんですが今日はタイミングを見てお母さんのほうから退席して下さいました。ななみちゃんはマーブリングをした後にお母さんがいなくなって少しさみしい様子でしたが作業は少しずつ進めました。箱を選んで水族館風にすると決めたので魚を3匹描きました。おりがみに鉛筆で描かれた小さな魚はそのままななみちゃんの気持ちを表しているようでしたが、小さくてもしっかり泳げるように厚紙で裏打ちをしてはさみで切ってもらいました。箱の上部に穴を開けてあげると糸をつける作業はひとりでできていました。まいちゃんはお母さんがいなくなってしまうと涙をためてしばらく同じ姿勢でいました。「絵が描きたいかな」と声をかけると首を振ります。「工作がしたいかな」と聞いても首を振ります。「みんなと一緒のマーブリングをしてみる?」と聞いても首を振ります。「なんにもしたくない気持ちなのかな?」と聞くとこくんとうなずきました。こういう場合はまずその気持ちを肯定して受け入れます。「じゃあ何かしたくなったら教えてね」といったん離れて様子を見ました。じっとしていても周りの様子は敏感に感じているので、たまたま今日は残ってしまった他のお母さんたちがいて恐らく「何で私のお母さんは帰ってしまったんだろう」という気持ちが強かったと思います。間もなくマーブリングの作業場が空いたので「さて、まいちゃん、あそこ空いたから行こう」と抱っこして連れて行きました。好きな色を選んでねと言うとすっと選びました。こうなればもう大丈夫です。言葉は出てませんが「私はこれをします」という意思表示だからです。やりたくなければ手を出さないでしょう。「さっき、見てたからやりかたわかるよね」と言うとうなずいて作業を始めました。ポイントだけ教えれば私がずっとそばについていなくても次々とひとりで作業を進めていきました。うちわの製作を選び型の取り方を説明しました。はさみで線の通りに切るのは上手でした。ななみちゃん、まいちゃんともにお母さんがいなくても十分に制作できる力があるので、気持ちの面で自立できるように、充分コミュニケーションをとって楽しく創作できればと思っています。きおかちゃんはマーブリングは経験済みなので「しってるよー」と余裕で作業をしていました。うちわを選んでテープも貼って「できたよ」と言うので「じゃそこに何か絵を描いてみようか」と誘うと「えー、かかない」と言います。すこし間をおいてからゲルマーカーを見せて「新しい色を入れたから使ってみる?」と渡すと興味を示していつの間にか絵を描き始めていました。ひかるちゃん、ゆうりちゃんもマーブリングは面白かったと見えて上手に作業していました。ゆうりちゃんは2枚作りました。テープの貼り方もさすが小学生らしくうちわに対して直角に貼っていくという独自の方法を編み出していました。ひかるちゃんはいつものマイペースですが丁寧に作っていました。わからないことも自分から私のほうにやってきて聞いてきてくれます。ゆうきくんは学校の宿題の続きをしました。マンモス自転車の色塗りです。根気よく丁寧に塗っていました。塗り残しのように見えるタイヤ部分の構造を聞くと、網目から向こうへ抜ける感じを出したいというので網目の隙間も背景と同じ色で塗るように指導しました。牙のデザインのハンドルは紙の白色を利用して塗っていません。透明水彩絵の具の特長を生かした描き方になっています。もとかずくん、ななちゃんはならんでマーブリング紙を使用して水族館風の飾りを作りました。もとかずくんは生き物が好きで魚も特徴をよく捉えて描いています。海草の雰囲気も出そうと工夫して描いている様子がよくわかります。立体的に立つように仕掛けだけこちらで手伝いました。低年齢にもかかわらず糸を通したり、細かい作業も上手にできています。ななちゃんは手際よく作っていき海草のリアルさにもとかずくんは「おねえちゃんすごい」と感嘆の声をあげていました。振り替え出席のあさひちゃん、まりんちゃん、さやかちゃんは前回の続きですっかりお母さんと一緒の工作モードに入ってしまっていて自分で考える余裕が持てなくなってしまっています。まほちゃんは理解力もありますし、ひとりで作業もできるのですが今日はまわりに引っ張られて「お母さんコール」をしていました。マーブリングした紙を海に見立てて裏表に描いた魚を貼りました。

良い機会なのでこのアトリエでの基本姿勢を書いておきます。自分がどうしたいのか考えるところから、ものを作ったり絵を描いたりすることは始まっています。小さい子でも自分の考えを持っています。クレヨンを持ったとたんにいきなり描き出す子もいます。何も考えていないように見えても、しかしそれは自分の意思で、無意識のうちのこうしたいという考えでもって描いているのです。こどもは一人一人違います。ゆっくりした子、すばやい子、めんどくさがりや、丁寧な子、年齢が同じでも同じ話をしてもみんな受け取り方が違います。1回の説明ではわからない子もいます。わからない子にはわかるまで繰り返し説明しますし、わかるように視点を変えることもあります。対話の中でその子の特徴や伸びそうな部分はどこにあるのか探ります。同じ課題でもこの子の今日のポイントはどこにおけば良いのかを考えつつ、その日のメンバーによって変わる全体の流れも見ながら進めています。私が言ったことをお母さんが復唱して伝えてしまっては、私にその子が何を聞き落としたのか、何がわからなかったのかがわかりません。こども本来の姿が見えないと方向性が定まりません。課題は本人の描きたい、作りたいという気持ちを引き出すためのきっかけにすぎないので見本どおりのものを作る必要はありません。学校の授業と違うのはそこのところです。今日に関して言えばマーブリングが主体です。その紙を使用して、うちわと水族館の見本を置いていました。が、見本を参考にするか、全く他のものを作るかを決めるのはこども自身であって、どうするかを自分の口で私に伝えることに意味があります。マーブリング自体をしないというのも選択肢のひとつです。マーブリングの課題で重要なことは水と油の関係で自然にできる造形美に感動するというところです。自分が動かした割り箸の先から複雑な美しい模様が生まれるその不思議さに目をみはってほしいのです。ですから、一人づつ静かに自分ひとりの世界で創作出来るようにしているわけです。うちわも、水族館も作らなくてもマーブリングを「何度もしたい」という気持ちになる子がいればむしろ、それが自然ともいえます。言われたことしかできない指示待ち人間にしないためにも自分の気持ちが素直に前へ出てくるように対話を心がけています。特に幼児期には体感するということが重要です。もうひとつ今日の事例からあげると、ひとりのこどもがうちわにのりをたくさん出していました。すかさず見つけたお母さんが「それはだしすぎ」と言って処理してしまいました。でも、ここは大人は黙って様子を見る場面です。幼児は適量というものがまだよくわかりません。出しすぎかどうかはまず出して、塗って、自分の手で感じる必要があります。周りだけに塗って貼ればはみ出すでしょう。そうすれば出しすぎたと気づきます。のりを全面に塗り広げれば適量になったかもしれません。途中で多すぎることに気づいて「ぬりすぎちゃった」と自分で言う可能性もあります。大きい子なら隣の子に分けてあげるとか別のところに取り置くことに気づくこともあるかもしれません。塗って紙を貼るという本来の目的を忘れてそのままのりで遊びだすかもしれません。先ほどのお母さんのように「出しすぎだよ」という子どももいるかもしれません。でもこどもがいうことには意味があります。そこにはこども同士の交流が生まれるということです。異年齢、複数のこどもがいるということはメリットとしてこども同士で育ちあうということがあります。要するにのりを塗るという行為一つにも様々な先の展開があるのです。その日の流れを変える要素となることもあります。濡れた紙は切りにくいということははさみを入れてはじめてわかります。もう一度ちゃんと乾かしてこようとドライヤーのところへ動く子もいればそのままむりやり切ってしまう子もいます。経験度やこどもの様子からこちらも対応を変えます。うちわを作るという目的を持ってしまったお母さんが横に張り付いていては脱線する間も失敗する間もぼーっとする間もこども同士の交流もありません。こどもは体感する中から様々なことに気づき、学習します。最初はうちわを作ろうと思っていたけど途中から違うものになってしまったという子がいても良いのだと思ってください。制作している間にふとアイデアがひらめき違う展開になっていくことはよくあることです。こどもが気づく前に何でも教えてしまうのでなく気づいてからそうだねと相槌を打って了解してあげると子供は安心するし、納得がいきます。体感を伴わず知識だけで教えても本当には理解していないこともあります。また、こどもが孤独でいると聞くとマイナスイメージがありますが、孤独でいる時間は、自由であり、内的成長が起こります。自分自身を発見するためには必要な時間です。一人でじっとしている時間、ボーっとしている時間にも意味があるのだと認識して下さい。
前回書いた「失敗することが恐くて描けない子」についても少し補足します。頭に描いたイメージと実際に描いた時のギャップを感じた時に、「失敗した」という表現になります。大人でも頭の中で犬や猫を思い描けても、実際描いてみると犬とも猫ともわからないような絵になってしまい、「私は絵が下手だ」と思い込むことと同じです。目に見えるものである場合はちゃんと観察して描くということを繰り返しすれば、技術は向上します。問題は「豊かにイメージができない」ことにあります。こどもが絵を描く上で大切なことは、こどもがいろいろなものに興味関心を持ち、驚き、発見することが出来るという環境を作ることとなり、それが大人の役割となります。そのひとつに本物に触れるということもあります。手の技術より、よく観るという視覚をはじめとする五感で感じるという感覚が大切です。その後何をもって、どう表現するかは個人の自由です。素材や画材、方法などは豊富に持っていれば選択の幅が広がるということです。自分が良いと感じることができれば「失敗した」と言う表現にはなりません。こどもの発想や発見を認めて共感することが、こどもの主体性と自信を育てるということにつながります。こどもたちにはここにくれば絵を描き、ものを作ることで、心が開放されると感じてもらえる空間になれば良いと思っています。そうして持ち帰ったものを家庭ではこどもの話をよく聞いてまるごと受け止めその表現を認めてあげてください。自分を認めてもらえたこどもは安心します。そしてその安心が次のステップに向かう自信となります。自分に自信を持ち自分の存在を受け入れられる子は、他者の存在をも認めることができて気持ちを添わせることができます。一人一人が違っていて素敵だと体感できる人に育っていってほしいと願っています。


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